日本政府観光局の英語版ウェブサイト変遷から見る改善のヒント

今回のブログでは、日本政府観光局(JNTO)が公開しているインバウンド事業者向けウェブサイト構築手引きを掘り下げてみたいと思います。JNTOは、外国人観光客向けに日本の文化や観光地を中心とした情報を英語版ウェブサイトで公開しており、同時にインバウンド事業者が活用できる有益な情報も豊富です。

本記事ハイライト

・旧JNTO英語サイトの課題
- 長すぎる文章・抽象的な説明・構成のちぐはぐさ

・再考・改善されたJNTOサイト
- 見出し、段落を駆使
- 簡潔なテキスト+ビジュアルで直感的理解を促す

・学び
- 外国人向けサイトは直訳では不十分
- 言語・文化に合わせた大胆な取捨選択と丁寧な造り込みが不可欠

旧JNTO英語サイトの課題!?

JNTOは『外国人旅行者を魅了する ウェブサイトの作り方 (英語実例集)』と題した事業者向けのウェブサイト構築手引きを作成しています。今回はこの内容から特に英文制作の考え方を見ていきたいと思います。というのも実際にJNTOがかつて公開していた旧・英語版ウェブサイトの問題点を実例にしてくれているからです。自分たちの誤りを堂々とさらけ出し、参考にしてもらおうという姿勢には頭が下がります。それでは、実際に見てみましょう。


ネイティブ編集者から指摘を受けた問題点がコメントとして上の方に簡潔にまとめられています。具体的には上記英文の赤線部がまさにその指摘を受けた部分ですが、主部に10単語を費やしており長いと言わざるを得ません。また、「型にはまった文章」とも指摘されていますが、翻訳者目線で問題点を洗い出してみます。

問題点1:文章が長い

まずお気づきのように、文章が長く、読む気がそがれてしまいます。

問題点2:説明が抽象的である

「多様な自然環境」、「日本人特有の繊細な感性」は言葉で伝えるには非常に難しい概念です。文章よりも画像や動画で伝えるべき内容であり、ウェブサイトならば画像や動画で表現する方が良いでしょう。

問題点3:文章構成がちぐはぐ

一文目では「自然環境と気候が特徴的」と言いながら、二文目では突然「日本の負の遺産」の話に大きく変化しています。文章同士の関連性が薄く、「読ませる」文章にそもそもなっていないと言えます。

実はこのような「理解してもらいたい」「知っている情報はすべて伝えたい」という日本人らしい丁寧さ・優しさを感じる文章は確かに「型にはまった」文章だと言えます。様々な外国人が見る情報として、もっと適切なスタイルが存在するはずです。

再考・改善されたJNTOサイト

そして現在JNTOの世界遺産紹介ページは次のようなテキストとビジュアルから始まります。


簡潔なテキストと日本らしさを感じてもらえるビジュアルで、一目で「日本の世界遺産」を紹介してくれるサイトだと理解できます。そして次のような、見出しと段落で構成されたより詳細な紹介文が続きます。


伝えたい内容は改善前と大きく変わりませんが、表現が大幅に改善されています。

まず見出しが要点を伝えています。

「日本の魅力的な世界遺産には、城、国立公園、歴史的な集落があります」


実に簡素な見出しですが、概要を把握するにはこれで十分であり、見出しの役割は果たしています。

次に、各段落は次のような構成になっています。

1段落目:日本各地に世界遺産が存在すること(例:知床国立公園、京都・奈良・日光の寺社、沖縄首里城)

2段落目:自然を感じられる世界遺産であること(例:小笠原諸島、石見銀山、紀伊山地の霊場)

3段落目:訪れやすい世界遺産と代表的な世界遺産(例:厳島神社、姫路城、白川郷、原爆ドーム、富士山)


何がどこに存在し、どのような世界遺産なのかがコンパクトにまとめられています。曖昧さが排除されているため、読む人がストレスを感じにくい文章になっているといえます。

そしてさらにページをスクロールすると、次のようなサムネイル画像が並んでいます。先ほど紹介されていた世界遺産の詳細が理解できるページに飛ぶことができます。


各詳細ページはハイライト、見出し、画像などを駆使して読みやすくなっており、「行ってみたい」と思わせる内容になっています。

学び

今回ご紹介したJNTO世界遺産紹介サイトは、あらゆる業界・業種の方にとって参考になる内容です。

想定する読者の言語・文化に合わせたテキスト・ビジュアルを準備することは、日本語サイトとは大きく異なり、大胆な取捨選択・優先順位づけが必要になることもあります。すでに存在する日本語サイトを生成AIに読み込ませ、英語化・多言語化することは手っ取り早い選択肢ではありますが、外国人の感性に響くサイトはやはり丁寧に造りこまなければ実現しないのではないでしょうか。

最後に

最後までお読みいただき誠にありがとうございます。皆様のインバウンド向け英語版ウェブサイト構築の一助となればと思い記事を書いてみました。商品・サービスと同じようにウェブサイトも継続的に改善することが大切です。今後ますます外国人との関わりは多く、そして深くなってくることは避けられないなかで、英語版ウェブサイトの構築は企業経営にとって重要な布石となるはずです。そこで、ぜひトラクリ8までお気軽に無料相談をいただければと思います。今回の記事のように現状のサイト問題点洗い出しから、英語版ウェブサイトの企画・制作に至るまであらゆるご相談を承っております。

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