インバウンド戦略を「本当に」成功させるコツ ―翻訳者から見た「選ばれるおもてなし」―

海外を旅して感じた「20年前」の不便さ
私はこれまでアメリカ、中国、韓国、ベトナムなど海外を旅してきました。英語圏ではない国ではやはり言葉の壁を感じたことを思い出します。
もちろん外国語が話せなくても海外旅行は楽しいものですが、その旅をもっともっと楽しむためには言葉の壁を超えることが何よりも大切になります。
韓国を旅した20年前もハングルを知らなかった当時、どの飲食店に入れば良いのか、どんなメニューなのか理解するのに苦労したことがあります。
今ならGoogle翻訳などで言葉の意味を調べて、そこからさらにどんな料理なのか検索したり、あるいはChatGPTで一気に検索したりすることもできます。
外国人が感じる「2025年」の不便さを乗り越えるヒント
2025年8月までの統計によれば、日本を訪問する外国人観光客は2800万人を超えており、一説には年間で4000万人を超えると言われています。
それだけ多くの方が来日されているということは、やはり外国人観光客の方が日本滞在時に不便さやもどかしさを感じておられると思います。
話は変わりますが、私が懇意にしている米国出身の方に以前お中元を贈ったことがあります。やはり日本らしいものが良いだろうと「おせんべい」を選び、ご自宅に訪問して手渡しました。その時の会話は英語でしたが日本語にすると次のようなものでした。
「いつもお世話になっております。これはつまらないものですが…お中元という日本の習わしでお世話になっている方に贈るものです」
「そうですか、ありがとうございます。ちなみに中身はなんでしょう」
「おせんべいというお米を原料にしたお菓子です」
「えっ!…実はおもちが苦手で…ベタベタするお菓子は食べられないのです」
私は少し面食らいましたがすぐに「なるほど、これは少し説明が必要だな」と思い次のように説明したのです。
「いえ、これはいわば『ライスクラッカー』です。パリパリとした食感と薄い塩味がマッチしてお気に召すと思いますよ」
と伝えたところ非常に喜ばれ、後日お礼のLINEには「美味しかったです」という内容が書かれていました。
もっともっと「伝わる」インバウンド戦略
この外国人にお中元を贈るという体験を通じて感じたことを、例えば飲食店のメニューなどに活かすことができます。
はじめて日本を訪れる外国人旅行者は、普段私たちが当たり前のように美味しく食べているものを、はじめて体験するわけです。先ほどの「おせんべい」のお話のように、何事も面白がって「試してみよう」と思う方ばかりではありません。
そこに世界一流と呼ばれる日本人らしい「おもてなし」を発揮する余地があります。
例として「親子丼」をインバウンド向けメニューとして翻訳してみましょう。
私なら「Oyako-don」を筆頭候補に挙げます。「ふざけるな!」という声が聞こえてきそうですが、これはふざけているわけではありません。キチンとした理由があります。
理由1 単なる「説明」では外国人の心は動かせないから
機械翻訳が親子丼を英訳すると「bowl of rice with chicken and eggs」というものです。
うーん…確かにその通り。しかし、これは「親子丼という“物体”の説明」であって、ちっとも美味しそうではありません。
先ほどの訳で外国人が「なるほど、鶏肉と卵を乗っけた丼ね」となったとしても、「じゃあ頼もう」となりますか?ということを改めて考えていただきたいのです。
理由2 スムーズな店舗オペレーションに貢献できるから
仮に親子丼を「bowl of rice with chicken and eggs」と訳してメニューにして店舗を運営したとしましょう。そして外国人が「ほぉ英語でメニューが書かれているのか」と親子丼を選び注文するとしましょう。その外国人は、
Excuse me, 1 bowl of rice with chicken and eggs.
と言うことでしょう。
その時、たまたま接客していた従業員がキチンと外国人が発した英語を聞き取れるでしょうか?聞き取れず結局外国人が指差したメニューから「親子丼を注文したいんだな」と理解する従業員の方が多かったりしませんか?
指差した外国人も「英語で書いてくれてはいるが、英語は伝わらないのか」と不安やストレスを感じる可能性だってあります。
急速に拡大するインバウンドを取り込みたいからといって、従業員全員を集めてひとりひとりに英語を教える時間とコストがあるでしょうか?
理由3 「日本に初めて来た外国人旅行者」という文脈を理解しているから
私が「親子丼」を訳すなら次のようになるでしょう
Oyako-don ¥1250
Try this classic Japanese home-style rice bowl: with every bite, juicy chicken flavors burst forth, perfectly matching fluffy egg. It’s a must-try to soothe your travel tiredness!
この英訳は次のような意味です。
親子丼 ¥1250
日本の代表的な家庭料理をお試しください。噛むたびに鶏肉の旨味が口の中に広がり、ふわふわの卵が相性抜群。旅の疲れを癒す一品をぜひご賞味ください!
いかがでしょうか。日本に初めて来た外国人旅行者がふらっと立ち寄った飲食店に、こんなメニューがあれば「頼んでもらいやすい」のではないでしょうか?
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回のお話が皆様のインバウンド戦略のヒントとなれば幸いです。
しかし経営者にとって最も大事なのはあくまで商品力・サービス力です。
このようなインバウンド戦略に最適な英訳を長い時間をかけて経営者が考える必要はありません。プロに任せることで大幅に時短できます。
そこでぜひトラクリ8までお気軽に無料相談をいただければと思います。
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